インスタント・ライフ（９５）

常に不可逆。時には後ろを振り返ったりすることはあったとしても、それをしている時間でさえもただただ過ぎ去る。何かを手に入れる為には、代わりに何かを手放すしかない。それは決まり事みたいなことだ。

過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい。経験を積むことで、新しいものをキャッチ出来るアンテナが備わる。昔のことばかり考えていては、新しいことは何も出来やしない。

刹那や一閃は、125分の1くらいのスピードで止められる。しかし写真なんてただそれだけのことだ。結果として生まれるのはぺらぺらの紙切れや数メガバイトのデータでしかない。写真に頼るなんてやめちまえばいい。大切な瞬間はファインダーなんかを通して見ちゃ駄目だ。思い出は、紙じゃなくて眼で脳みそに焼き付けるしかないんだヨ。

これくらいドライに写真と接して、それでも残る思念みたいなものをどうにかして形に残したい。出来れば紙で、印画紙じゃなくてもいいからさ。何か印刷物を作ろうと思います。